WeWorkの隆盛と凋落を追う - コワーキングスペースの価値とは?

New York City, USA cityscape at Union Square in Manhattan.

コワーキングスペースの雄といえばWe Companyが運営するWeworkです。シェアオフィスやコワーキングスペースを運営する方は研究対象としている場合も多いのではないでしょうか。トドケールは顧客であるコワーキングスペースやシェアオフィスをもっと深く理解するために、WeWorkの企業研究を続けてきました。

この投稿では、トドケールがこれまで続けたリサーチの中から、コワーキングスペースの時代を切り開いたWeworkのリサーチをお伝えしたいと思います。WeWorkのこれまでの歴史を振り返り、その中からトドケールが感じるコワーキングスペースの価値について考察したいと思います。

 

WeWorkの始まりと現在

WeworkはAdam NeumannとMiguel McKelveyによって2009年に創業され、2010年に最初のオフィスをニューヨークのマンハッタンに開設しています。それまで運営していたコワーキングスペース「Green Desk」を売却した資金をもとにしての創業でした。

時は2009年、2007年から始まった金融危機の爪痕が残るアメリカでは職を失った人々が独立したフリーランスとして働き始めること多かったものの”Work From Home”、つまり在宅勤務の環境に息苦しさを感じた人々が求めたフリーランスのための管理が行き届いたオフィスを提供するというニーズに目をつけたビジネスアイデアでした。同時に隆盛を極めるGoogleやAmazonといったテック企業に続けとアメリカにおける起業家精神が高揚を始めた時期でもありました。

これらの需要を取り込んで、WeWorkのオフィスは瞬く間に成長し、この記事を執筆している2020年4月18日時点で公開予定のオフィスも含め、世界123都市846拠点を展開するに至っています。

 

Space-as-a-Service

WeWorkが提唱するSpace-as-a-Serviceのビジネスモデルはそれまで複雑であった不動産の契約にかかる条件や手続きを簡素なものにし、時間単位、分単位に至るまでに細分化してオフィスという空間を消費することを可能にするものでした。日本でもおなじみの複雑な不動産の手続きですが、アメリカにおいても事情は同じようです。

日本においても定期借家/普通借家、前払保証金、敷金/礼金、保証金償却、解約通告期限、原状回復義務などなど、不動産法務の世界は複雑怪奇なもので、個人事業主やらスタートアップが簡単に都心の一等地に不動産など借りることはできません。

この複雑な不動産の契約実務を一手に引き受け、プライベートオフィス(個室)、固定席、自由席、オンデマンドといった会員区分を設けてオフィスという空間を個人や企業のニーズに合わせて柔軟に消費する転貸サービスを提供したのでした。

 

巨額の資金 - 約8,000億円

WeWorkが成功した要因の一つといわれているのが、巨額の資金です。アメリカの調査会社のレポートによれば、WeWorkは2019年のソフトバンクの出資を含め、おおよそ8,000億円の資金調達を実現しています。(2019年における救済のためのソフトバンクからの追加貸付5,500億円は除く。)

各ラウンドの資金調達額と株式評価額をまとめたのが以下の図ですが、2018年からソフトバンクが出資するまでにも約3,000億(USドル = 110円換算)の金額を集め、すさまじい勢いで成長してきたことになります。

アセット 1

WeWorkはこの巨額の出資を武器に月に平均6.8拠点をオープンし、10年間に21もの企業買収を実施しながら成長を続けてきました。

しかしながら、2019年のIPOに失敗するとその評価は凋落し、一時は5兆円とまで評価された株式価値は1.2兆円(現在では約8,000億程度)にまで下落したといわれています。このブログの一つのトピックとして、WeWorkの戦略とその落とし穴までを細かく分析していきたいと思います。