WeWorkはなぜコワーキングスペース市場で勝ち抜いたのか?-3つの差別化要因

Copenhagen, Denmark on the Nyhavn Canal.

では、Weworkは何が他のオフィスと違うのでしょうか?なぜ他のオフィスと比較しても決して安いとは言えない価格設定ながら人々はWeworkを使うのでしょうか?

 

1.データを利用した立地・ビルの選定とオフィスレイアウトの作成

Weworkのオフィスは基本的には都内の一等地にありますが、郊外エリアにも散見されます。これらのオフィス立地において考慮されているのが「ネットワーク」だといわれています。ネットワークが意味するものは例えば・・・

  • ターミナル駅へのアクセス
  • 交通の便利さ
  • 最寄り駅への距離
  • 近隣地区の活気

中でも「近隣地区の活気」には特別なこだわりがあるらしく、直感的にビジネスにとって便利なものを意味するようですが、それが何なのかははっきりしていません。責任者のインタビューを見ると、「例えば、オフィスを尋ねた顧客とランチに出かけるカフェやレストラン、仕事の後にくり出すバーなどを意味するとも思える」などど回答していますが、これはあくまで直感的なものにすぎず、Weworkではこれをシステム化するべく、最適な立地を探し出すために大量のデータを用いて分析していることが知られています。このような「直感的」にビジネスにとって利便性が良い要素を活気(Liveness)と表現していますが、これを数字化するためにデータ分析をして、機械的に探し出すデータ企業としても側面もあります。

過去のCOOの発言には「Weworkがオフィスを開くたびに、会員の退会率が下がる。」とあるように、データが蓄積されればされるほど精度が上がり、意思決定も速くなります。

また、Weworkはオフィスのレイアウトを決める際にも機械学習を用いて、最も効率的なオフィスレイアウトを設計することも知られています。例えば、「あなたのオフィスにはいくつのミーティングルームが必要ですか?」という簡単な質問にどれくらいの人たちが合理的に回答することができるでしょうか

Weworkではデザイナーの直感に頼るばかりではなく、様々な要素をモデル化して機械的にこの問いに回答を示し、素早くオフィスレイアウトをデザインすることが可能なのです。ブログの記事では機械学習を使うことで会員が会議室を利用する時間の予測精度が40%も向上したことが示されています。

データを利用してオフィスの最適化を進めるのがWeWorkなのです。

 

2.ライフスタイルを実現するアメニティ

アメリカドラマを見ている人ならわかるとは思いますが、アメリカのテック企業のオフィスの充実ぶりは日本のオフィスとは比較になりません。そんなものがなぜオフィスに!?と驚かされるようなものばかりです。

例えば・・・

  • やたらカッコイイ絵画やオブジェ
  • 飲み放題のジュースやコーヒー
  • ブレックファーストにはベーグルとフルーツ
  • 帰りがけのビールやワイン
  • 間食のための昔ながらのお菓子
  • 休憩のためのハンモックやソファ
  • 談笑のためのフリースペース などなど

これらが全部無料で提供されています。今日やるべきことをこなす限りにおいてはハンモックで寝ていようが自宅から仕事をしようが自由です。つい立に囲まれたキュービックのデスクで書類に囲まれてせわしく仕事をするという環境とは大違いですね。

Weworkのオフィスでははまさしくこのテック企業の環境が再現してあります。フリーランスやスタートアップの起業家たちが私服でヘッドホンを首にかけながらリンゴのマークのパソコンを使いこなし、疲れたらソファで一休み。

そんな形で仕事をして、近隣のバーに仲間と繰り出すというライフスタイルをオフィスを通じて提案したのがWeworkでした。

 

3.コミュニティとアプリケーション

Weworkが従来型のシェアオフィスと異なっていたのは、Space as a Service(サービスとしての空間)というコンセプトのもとに、高価なオフィスをシェアして提供するだけではなく多様な人材が集まるコミュニティを大事にしたことです。

彼らのコンセプトの中ではそれまで「”I”(私)」のためであったシェアオフィスを「”We”(私たち)」のための空間として定義し、そこで働く人々が柔軟(Flexible)に、起業家精神(Entrepreneurial)をもって、協働(Collaborative)して働くことができる空間を提供することを目指しました。

そのコンセプトかWeworkのMission Statement(企業使命)の中にも現れています。

 

”“WeWork’s mission is to create a world where people work to make a life, not just a living”

「Weworkの使命は人々が単にお金のために働くのではなく、人生を築くために働く世界を実現することである。」

 

壁には「”Do what you love”(好きなことをしよう)」や「”Create your life’s work”(一生の仕事を作ろう)」といったメッセージが掲げられ、Weworkの価値観とそれを反映したコワーキングスペースは起業家精神にあふれた人々の共感を呼び、協働して、粘り強く、既存の価値観への挑戦を続け、そして自分が好きなことに人生を費やすイノベーターたちのコミュニティを作り上げました。

さらに単純にコミュニティを作るというコンセプトだけでなく、それに対する投資も惜しみません。Wework Commonsという独自のSNSを持ち、その中ではメンバーシップを持つ人たちがお互いにつながり、仕事を紹介したりすることができます。このようにコミュニティを作ることを支援するツールも積極的に開発して提供しています。

 

まとめ

以上のように、Weworkはフリーランスや起業家の共感を集め、それを支援する企業文化をもち、そのブランディングを徹底することで成長してきました。Weworkの文化として、FlexibilityとOptionを大事にすることは知られており、それらをもって自分で人生を選択して、築くという文化に多くの労働者が共感した結果がWeworkの快進撃なのだと思います。同時でデータを利用することで効率的、かつ、合理的な意思決定をすることでも競争力を高めてきました。