WeWorkに買収された21の会社ーその裏にある戦略とは?

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2015年から総額約8,000億円もの資金を調達したWeWorkですが、その巨額の資金は何に使われたのでしょうか?もちろん、月間平均6.8拠点をオープンしてきた新規拠点開発資金もあるでしょうが、そのスピードの速い成長の裏でWeWorkは巨額の資金を背景に21もの会社を買収し続けました。

本日はその中からいくつか名前が知れているスタートアップを紹介しましょう。

 

Case.inc - 2015年8月に買収

Caseは2008年に設立された会社でビルの設計にテクノロジーを融合したBIM (Building Information Modeling)の先駆者の一つである少数精鋭の建築デザインコンサルティングの会社として知られていました。David Fano、 Federico NegroとSteve Sandersonの3名を中心に設立された会社で2015年に買収されたときにも従業員は63名と決して多くはないものの、その名前はニューヨークの建設業界では知られた存在でした。データを駆使してビルやオフィスの設計・デザインを行うことで驚異的なスピードによる拠点の展開を実現してきた理由がここにあります。詳細は明らかではありませんが、Case Inc.の創設者であるDavid Fanoのインタビューの中で「驚くべきことは私はWeWorkの社員として建設デザインだけではなく、ソフトウェア開発も含むデジタル分野も任されたことだ。」と答えていることから、Case Inc.がWeworkの成長を支えていたPowered by Weの基礎となったことは確かでしょう。

 

Spacemob - 2017年8月/Nakedhub - 2018年4月に買収

Spacemobはシンガポールにおけるシェアオフィス事業のメジャープレイヤーである。WeWorkの登場の後、すぐにほぼ同じモデルをシンガポール内で展開し、アジアにおけるシェアオフィスのトッププレイヤーの仲間入りを果たした。シードラウンドで6億円の資金を調達するとすぐさまインドネシアやベトナムといった近隣諸国に進出し、WeWorkの買収によりSpacemobのCEOはWeWorkの東南アジアのディレクターへと就任した。

その後、WeWorkは中国において高級リゾート施設を運営するNaked Groupが運営するNakedhubを買収し、中国進出も果たした。Nakedhubは上海や北京を中心に拠点を構える中国におけるコワーキングスペースのメジャープレイヤーであり、その価値は450億円とも言われていたが、あっさりとこれらの事業を買収し、WeWorkはアジア進出を果たしたのである。

2020年5月現在、SpacenmobおよびNakedhubはその名前を消し、WeWorkのブランドに統合されている。

 

Manged by Q - 2019年4月

WeWorkのお買い物の中で最も高額なものの一つと言われているのがManaged by Qです。総額240億円と推定される買収金額はスタートアップのディールには見合わないと批判も受けました。資金難に直面した2019年のIPO失敗直後に真っ先に売却の対象になっているとの噂が立っていることもManaged by Qを有名にしています。

Managed By Qは2014年にDan Teranにより設立されたオフィス管理のプラットフォームです。具体的にはオフィスにおけるヘルプデスクの管理であったり、共有施設の管理、オフィスに関係するサプライヤーの一覧管理、様々なレポートの出力が可能なクラウドサービスです。2020年5月現在、Managed by Qは創設者が買戻しを画策しているといわれており、今後の動向に注目が集まっている。

 

SpaceIQ - 2019年8月に買収

SpaceIQはオフィスのレイアウトをデザインするための空間設計ツールを提供すると同時にそれに関係するオフィスの占有率や稼働率、収容人数などのデータを集め、ビジュアライズするダッシュボードや収容人数の上限予測などの機能を提供する不動産データプラットフォームである。近年、オフィスはイノベーションを創出するための共創に必要なプラットフォームとして位置づけられており、どのような部署の配置にすれば部署の垣根を超えたコラボレーションが生まれるのかを試すためのシュミレーション機能も備えている。

SpaceIQのミッションは「部屋の管理からグローバルな拡張計画の管理まで、不動産のライフサイクルを管理する近代的なプラットフォームを提供すること」とされており、上述の機能はまさしくそれらを支えていると思われ、WeWorkのビジネスとの親和性も高いと考えられている。

 

WeWorkの戦略

買収した企業群を見ていると一定の共通項目があり、これらはWeWorkが目指す未来像を示していると思われる。つまり、買収した企業を眺めながら、WeWorkのコワーキングスペース事業との親和性を考えると彼らが単なるコワーキングスペース事業者ではなく、データカンパニーとしての未来を目指していたことが見えてくるのである。次回はWeWorkが目指したデータカンパニーとしての戦略と未来像を見ていこう。