WeWorkからシェアオフィスが学ぶべき経営手法5選

Smiling business people looking at sticky notes on glass in meeting room at creative office-1

泥沼のWeWork

 約8,000億円の資金を調達しながらも、IPOに失敗したWeWorkは窮地に陥っています。コロナウィルス(COVID-19)の影響もあり業績はさらに悪化し、従業員の削減を発表したり、株式の買取を約束したはずのソフトバンク社と創業者や一部のVC(ベンチャーキャピタル)が買取の実行をめぐって訴訟に発展したりとWeWorkを取り巻く環境は泥沼の様相を呈しています。

2020年5月19日に行われた2020年3月期の決算発表で1兆3,646億円もの営業損失を発表したソフトバンクの代表取締役である孫正義氏は会見の中で「WeWorkで投資の失敗をしたのは公に認めている。私がばかでした。私が失敗しました。私が見損ないました。」と明確にその失敗を認めています。また、実業家として知られるホリエモンこと堀江貴文氏も自信のYoutubeチャンネルにおいて、「WeWorkのビジネスモデルが成立するはずはないと思っていた。」とWeWorkのビジネスについて、その収益性を疑問視する発言をしています。

米国のメディアにおいては、WeWorkのインモラルな企業文化やテック企業と呼ぶには少ない総社員数に対するエンジニア割合が指摘されるなど、WeWorkが世間で確立したブランドと実際の状況の違いが指摘され、WeWorkは窮地に陥っています。

 

的外れな指摘も多い

 しかし、これらの発言や指摘のすべてのこれをもってWeWorkが示してきたサービスの価値が否定されるということではないと考えています。WeWorkが経営難に陥った後もその高い会費にもかかわらずWeWorkのオフィス稼働率は各地で高いレートを維持していたと聞きます。同時に、急速な世界展開と拠点の拡大によりWeWorkが目指していたコスト削減策は確実に実行されており、最後まで実行するための資金を確保することができれば、再建の道が開ける可能性も十分にあると考えています。テック企業と呼ぶにはエンジニアが少ないという指摘もナンセンスだと思います。ビジネスモデルにおいて必要最小限のエンジニアを抱えることが経営の観点からは合理的であり、ビジネスにおいて必要なテクノロジーを効果的に開発・利用している限りその企業はテック企業と呼ぶに値すると思います。エンジニアの比率がテック企業かどうかの基準と考えるのは技術者たちの無用なプライドです。何より様々な批判を受けながらも利用を続ける人たちがいるという事実はWeWorkのサービスを必要としている人たちがいるという証拠であり、彼らのビジネスの価値が否定されたわけではないと考えています。

 

学ぶべき5つの手法

 一方でWeWorkの失敗事例はコワークスペースを運営する上での成功と失敗をお手本のように示しており、それを注意深く見ることでコワーキングスペースの運営者もしくはこれからコワーキングスペースを開こうと思っている事業家の方々はいくつもの示唆を学び取れる最高の研究対象だと考えています。ここでこれまでの記事の中で我々が分析したWeWorkの運営手法から学ぶ、コワーキングスペース運営のための示唆をまとめてみます。

 

  • ライフスタイルを提案しよう

 あなたのコワーキングスペースが誰のためのコワーキングスペースであるのかを明確にする。WeWorkは起業家マインドを持ったイノベーターたちが、自由と人生を懸ける仕事を求めて集まるオフィスとして自分たちをブランディングしました。

 

  • 複数の拠点を運営しよう

 複数拠点を運営することにより、拠点当たりのコストを下げることができます。複数の拠点を展開することで知識は共有されて、オペレーションは効率化され、結果としてコストが下落します。

 

  • コミュニティを形成しよう

 もしくは、それ以外のソフトをオフィスというハードに載せてサービスを構築する。イノベーターたちのコミュニティというソフトこそがWeWorkが生み出した最大の価値であり、大企業はそのコミュニティに参加しようと会員となりました。

 

  • ITやツール・アメニティへの投資しよう

 入居者・利用者のための投資を惜しんではいけない。WeWorkではオフィス会員だけが使うことができるSNSであったり、会議室を予約できるアプリだったりが提供されています。ITツールはオフィスの利便性を向上するだけでなく、データを集める基盤となり、さらなる改善のための手段を提供してくれます。アメニティはブランディングに必要な要素であり、無料のビールはコミュニティを形成するための媒介となりました。

 

  • KPIを設定しよう

 ビジネスの成長を確かめる為にはKPIを設定して追いかけなくてはいけない。WeWorkではCapacity(最大収容数)、Occupancy(稼働率)、Run-Rate Revenue、Commited Revenue Backlog、Contribution MarginといったKPIが設定されており、これらをモニタリングしていたと同時にオフィスを5つのステージに分けてポートフォリオとして管理しています。

 

オフィス分散化のカギとなるコワーキングスペース

 コロナウィルス(COVID-19)の影響を受けた後、事態が終息したとしても働き方は以前のようには戻らないと考えています。そして、働き方の変化はオフィスの形の見直しを引き起こし、このオフィスのあり方の見直しの過程においてWeWorkに限らないコワーキングスペースは大きな存在感を示していくとトドケールは信じています。人々の移動を最小限にしながら、働くことに適した環境を提供していくコワーキングスペースは「オフィス分散化」の波の中でカギとなる存在となるはずです。

長く続いたWeWorkの分析記事でしたが、こちらが最後の投稿となります。楽しんで読んでいただければ幸いです。ご意見などがあればコメントもお待ちしております。