変わる人事・総務の役割 - Employee Experience (EX)ってなに?

Two Young Office Women Reading Some Notes Together at the Table with Happy Facial Expressions.

なぜ従業員体験の改善が必要なのか?

残念ながら、欧米では当たり前に語られる話が日本においてはまだ通用しないことが多々あります。その中の一つがEmployee Experience (EX)、日本語にすると従業員体験と言われるものです。

米国においては顧客中心主義の事業開発が主流となりつつありますが、その手法を従業員の就業体験にも持ち込んだ考え方となっています。

COVID-19(コロナウィルス)が蔓延する前は、日本においては「人が足りない」とか「採用ができない」という悩みをよく耳にしましたが、人材流動性が高い米国においてはその悩みはさらに深刻でした。特にMillennium(ミレニアム)と呼ばれる30歳以下の世代では仕事に対する価値観がそれまでの世代とは大きく異なり、大企業であるというだけでは魅力的とは考えられなくなってきました。シリコンバレー発のテック企業が示した柔軟な働き方を求める価値観が標準化し始め、従業員としての社内における労働体験は彼らが働く会社を選ぶ際のとても重要な側面となったのです。

人材の確保も顧客への対応と同様に重視するべきであるという考え方が発達し、それまでの顧客体験(CX)のみではなく、従業員の就業体験も改善する必要があると考えた末に登場したのがEX、従業員体験です。

 

従業員体験 - Employee Experienceとは?

Employee Experienceという概念は元AirbnbのGlobal Head of Employee ExperienceであるMark Levyによって最初に提唱されました。Mark Levyはそのキャリアの20年以上をHuman Resource(人事)の分野において過ごしてきた人事のスペシャリストと言える人物ですが、そのMark LevyはAirbnbに参画した際に、それまで採用、労務管理、総務などに分かれていた人事関連機能を一つにまとめ上げ、人事・総務という垣根を超えたEmployee Experienceという部署を作り上げるに至りました。

Employee Experienceという概念を作り上げ、人事・総務という垣根を超えた部署を作り上げた背景にはそれまでの人事・総務という組織の枠組みが新しい時代に対応することができなくなったという考えがあるようです。そして、Mark Levyは今の人事・総務のあり方に警鐘を鳴らすかのようにStaffBaseというコミュニケーションツールのブログにおいて紹介されているインタビューの中で、こんなことを言っています。

”世代をまたがる従業員たちはその期待や働き方についてとても厳しい要求を持っています。そして、多くのビジネスにおいて顧客と共感する、顧客を理解する、そして顧客に寄り添う必要性が高まるという環境は従業員たちの働き方に対する要求が高くなるというトレンドを加速させるでしょう。”

変わる労働者の意識に現在の組織がついてこれていないという危機感をもとに、Mark Levyは従来の人事・総務のあり方も変わるべきであると考え始め、Employee Experienceという新しいマネジメントにたどり着いたのです。

 

変わる環境に対応して人事・総務から業績に貢献する

では、EXが達成するべき目標とは何なのでしょうか。

”それは従業員の働き方に対する期待やその中で得られるであろう経験値への期待に答えることです。それは従業員のやる気を引き出し、離職率を低下させ、何よりも重要なことは顧客満足度に関連する従業員のパフォーマンスを改善してビジネスの目標を達成することにつながります。”

つまり、EXの改善がひいては顧客体験の改善につながり、会社の業績をも向上させるとMark Levyは信じています。そして、従来のような画一的な従業員の扱いに次のように警鐘を鳴らし、人事や総務といったオフィスの管理機能について変化を促しています。

”従業員の体験は個別にカスタマイズする必要がある(Personalization)。もう我々は従業員を均質な集団とみるべきではない。彼ら、彼女らは同じように学習することはなく、同じように情報を受取り、理解することもなく、同じ興味を持っているということもない。
組織は近年では必ずしもデスクの前に座っているわけではなく、世界中のどこにでもいる可能性がある従業員たちとコミュニケーションをとり、活性化させるソリューションをデザイン、もしくは見つける必要がある。”

世界ではEXを実現するための様々なツールが登場して、これを駆使した改革が進んでいます。COVID-19(コロナウィルス)の流行で世界は大変な時期ですが、これからやってくるであろう新常態(New Normal)に対応するためには人事・総務の改革は必須であるはずです。このシリーズではトドケールが考える働き方改革とオフィスの形、そしてそれにかかわる人事・総務のあり方をMark Levyの提唱するEmployee Experience、従業員体験の観点からAirbnbなど具体例を参照しながら分析していきたいと思います。

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