従業員体験(EX)と企業文化が生み出す企業ブランド

Arabic people having a business meeting, row with selective focus

企業文化(カルチャー)とは何か?

企業文化(カルチャー)とは何か?これは多くの場所で長く議論され続けながらも未だ明確な答えがない質問でありますが、この問いにMark Levyは次のように答えています。

「企業文化とは組織内で共有される価値観と行動規範である。そして、それは企業の使命(ミッション)に基づいて作られるべきである。」

Airbnbがそのミッションと企業文化を大切にしてきたことは有名です。AirbnbのCEOであるBrian CheschyはAirbnbの最初の従業員を雇う前に企業のミッションを明確にすることにこだわり、その最初の従業員を雇うまでに4か月~5か月を懸けて1,000人以上の応募者の履歴書を見て、100人以上を面接したと語っています。その他、Brian Cheskyのインタビューや大学での講義内容などを見ていると彼がどれほど企業文化を大事にしているかがわかります。しかし、世界的に見ても一部のスタートアップ以外に企業文化という言葉を前面に出して大事にしているという話は聞きません。企業文化をそこまで重要なものとは考えていないということだと思いますがなぜなのでしょうか。Brian Cheskyが語るには企業文化が重要視されない理由は次のようなものです。

  1. 神秘的でふわふわとしていて夢見がちな内容に見えるから
  2. 測定が難しいから
  3. 短期的には収益に貢献しないから

特に3つ目の理由は大きな問題です。ミッションに根付く会社の価値観を守るために重要なことは会社の核となる価値観に共感できる人を採用することであり、それには時間がかかります。採用のスピードの遅れは拡大のスピードを遅らせ、面接の手間を増やしてしまいます。Airbnbでは採用の際に、採用する部署以外でEmployee ExperienceチームがCore Value面接なるものを行い、どんなに優秀な人であっても会社の価値観やカルチャーに共感していない人は採用しないそうです。何人もの優秀な人材が会社のカルチャーに合わないという理由で採用されなかったとBrian Cheskyは語っています。

 

ブランドとしての企業文化(カルチャー)

ではなぜそこまでBrian Chesky、そしてAirbnbは企業文化にこだわったのでしょうか。そこには経営者の個人的なこだわりではなく、戦略的な意味が込められていました。以下はStanford大学におけるコンピューターサイエンスの授業にてBrian Cheskyが講義をした際に語った内容の一部です。

「企業文化とブランドはコインの裏と表です。企業価値とは会社の中に存在する規範と信念であり、何が起きようとも社員がそれに従って行動するものです。そして、ブランドとは消費者が認識する会社からの社会への約束です。

認識しなくてはいけないことはブランドとはそれを世間に伝える従業員によって多くが決定されるということです。(中略)明確で力強い企業文化を持ち、正しい人を採用していれば、ブランドは構築されていきます。」

つまり、従業員が会社のミッションに共感し、企業文化を理解し、それに沿ってふるまうことで、価値観が社会に伝達され、そのミッションに共感する顧客を作る、それが企業のブランドとなると考えているのです。

ここで従業員体験が重要となることはお分かりになると思います。企業のブランドアンバサダーとなり、社会に企業のブランドを伝達する従業員たちが会社における労働体験をどう感じるのか?というポイントはブランド構築のプロセスにおいては無視できないポイントとなります。

 

企業文化と企業のブランドをつなぐのが従業員体験

Mark LevyはBrian Cheskyの方針から、Employee Experienceの考えにたどり着いたと推察され、ここでBrian Cheskyが言ったEmployee Experienceの目的と企業文化、そして会社の収益の話がつながります。Employee Experienceの目的とは以下の通りです。

「それは従業員の働き方に対する期待やその中で得られるであろう経験値への期待に答えることです。それは従業員のやる気を引き出し、離職率を低下させ、何よりも重要なことは顧客満足度に関連する従業員のパフォーマンスを改善してビジネスの目標を達成することにつながります。」

つまり、従業員の伝える価値観が顧客の共感を呼ぶことで顧客満足度の指標をが改善されます。そしてEmployee Experienceの目的は顧客の共感を呼ぶブランドを作り上げる従業員の満足度指標を向上させることなのです。新しい人事・総務のあり方や働き方を考えるうえでぜひ参考にしていただければ幸いです。